大好きな歌を歌いたい方へ
でも実は、「うまくなったな」と思う人って、自分の「内側」から音楽が出てくる人なのです。
まずは、こちらのコラムからどうぞ。
名曲の聴きどころ~なんてネガティブな歌い出し!
歌は、ただ聞き流すだけではもったいない!歌詞、メロディには作者の想いや、ちょっとしたマジックが要所要所に隠されています。それを私の独断と偏見で、ご紹介していきます。
記念すべき第1曲目は、世代を超えた名曲!中島みゆきさんの「時代」です。聴きどころポイントはズバリ!『なんてネガティブな歌い出し!』。「時代」と言えば、最も有名なのは「まわるまわるよ 時代はまわる~」というサビの歌詞ですよね。それ故、忘れられがちなのはイントロの歌詞。「今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて もう二度と笑顔にはなれそうもないけど」。こんな台詞、もし友達に言われたら「一体何が起きたの?」と心底心配になります。
しかもこのイントロのメロディには、この曲の最高音がすでに使われています。通常、最高音は、気持ちも、声量も最高潮!を迎えるサビに用いられることがほとんどです。しかし、この曲はサビが始まるよりももっと前、スタートのイントロからすでに最高音を使っています。実際に、オリジナルの音源を聴いてみても、中島みゆきさんは歌い出しから力強く、胸の内を訴えるような歌い方をしています。
では、何故イントロに、“ネガティブな歌詞”そして“力強いメロディ”を配置したのか?私はこう考えます。実は、この後に出てくる歌詞、「そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ」。これこそが最も伝えたい事なのでは?と。
絶望の淵にいる人に対して、 まずはイントロで“わかるよ。今が一番辛い時だよね。”と想いを代弁するように、ネガティブな歌詞で歌い出す。そしてその後、“でもね、いつか笑って話せる時はくるんだよ”と優しく背中をさすってあげているように感じるのです。人間であれば老若男女関係なく訪れる辛い時を、この歌はただ“応援する”だけでなく、まず“共感してくれる”。だからこそ、世代を越えて多くの人に愛される曲になったのだと思います。(宮本由季)
テーマ別レッスン講座開設!(2018.1.11)
講座第1弾の成果が出てきました!
「「自分から受講したい」と言った人に対しても、私が「受けたらどうですか」と勧めた人に対しても、共通して望んでいたのは、歌を歌う上で、「細かい部分へ気を遣うようになってほしい」、「細かい部分に表現をつけられるようになってほしい」ということでした。高い声が出る、声が大きい、声が長く続く。これらも必要な要素ですが、それだけで「歌がうまい、うまくない」というような、表面的なところでしか歌を楽しめていない人に、歌の魅力や、歌がうまいとはこういうことだということを知ってほしいという思いがありました。全3回または6回の講座受講後は、とにかくみんな、耳が良くなりました!」
――耳が良くなったとは、どういうことでしょうか?
「(歌の中で)「どうしてこの部分を聴き逃していたのだろう」、「今までなぜ聴こえなかったのだろう」というようなことを、みんな、口を揃えて言うんです。歌の本当に隅々まで意識して聴き取れるようになったことで、「「歌」ってこんなに繊細にできていたのだ」と知った人もいますし、「そんな表現の仕方があるんだ。びっくり!じゃあ、やってみよう!」という人もいました。また、「こんなに繊細に歌い分けているプロってすごい!」という感想がある一方、「今まで何を聴いていたのだろう(涙)。」と愕然としている人もいました。」
「歌を聴くうえではいろいろな観点があるのですが、今までは、メロディ、リズム、強弱くらいまでしか聴き取れていなかったということなのだと思います。例えば、分かりやすい例で言うと、ロングトーンだったら、クレシェンドしながらなのか、デクレッシェンドなのか、均一に伸ばすのかといったように、いくつかの種類があります。でも、今までは単なるロングトーンとしてしか聴こえていなかった。「何をやったら」だけでなく、「どのように使ったら」、この歌がより良く聴こえるのか。そういう発想になっていきました。」
――細かく繊細に聴けるようになったので、それを歌に活かせるようになったということですね。たしかに、聴こえていなければ、その違いを表現することもできません(笑)。
「聴こえたら、それをやってみよう、やってみたい!となるんです。」
受講を機に、上達のスピードが加速する
「その後の様子は大変よろしいです(笑)。まず、耳が敏感になっているから、オリジナルの歌と自分の歌との違いが分かります。今までは「高い音が出たか」、「音を外さなかったか」、「リズムがあっていたか」というような内容でしか自己評価できなかった人が、「細部まで表現できたか」とか、「思っていることを表現できたか」という基準で評価ができるようになってきました。その結果、歌を学ぶこと、表現することがどんどんと面白くなっていくんですね。また、「もっとこういうことを表現してみたいのですが」、「こういう歌い方はどうですか」という具体的な提案がどんどんと出てくるようになり、一段階深いところでの表現の追求ができるようになりました。こうなると、「歌えた」ということの満足度が、まるで違うと思います。レッスンも進めやすいですし、私もものすごく楽しいです。」
「お尻が決まっていること、つまり、いつまでに何をするというゴールが決まっていることです。課題を定め、それ以外のことはやらないので、集中して取り組むことができます。また、同じ観点で同じ動作を繰り返すので、やはり、感覚がより敏感になります。」
「通常は、「あなたの進捗に合わせて、様子を見ながら進めていきましょう」という形でレッスンをしています。こうしたレッスンの良さもありますが、ある程度、「歌を歌うとはどういうことか」、「レッスンとはどういうものか」がわかってきたら、時間を区切り、ここまではやると決めて進めると非常に効果的です。夏期講習などで短期集中で取り組むと、実力がグンと伸びるのと一緒ですね。」
講座第2弾、間もなく開設!
「全員です(笑)。「歌を歌うとはどういうことか」を知るのが、最初の1年です。「自分でどうやって歌いたいかを考えていく」のが、次の一年。地固めをした状態でスタートしたほうが身につくものが大きいと思います。」
「「歌」って複雑だなと思っている人は、ぜひ受講していただきたいと思っています。あれもやって、これもやって、がんじがらめになってしまうと思っている人。講座を受講すると、考え方がすごくシンプルになります。歌う際の表現の方法がたくさんあるだけで、捉える観点を整理すれば、極めてシンプルに捉えることができるようになります。」
――現在、第2弾を準備中と聞きました。どのような講座か教えていただけますか。
「「音楽に乗る」ということをテーマにしたいと思っています!日本人って、音楽に乗ることを恥ずかしいと感じる人が非常に多いように思います。音楽は楽しむものだと、頭ではわかっているけれど、実際に「乗る」ということを実感している人は、少ない気がします。やり方はいろいろとありますが、「音楽」と「自分の体と心」が一緒になる瞬間が必要だと思っています。歌う時にも、音楽を聴くときにも、(やれば良いと分かっていても)恥ずかしいとか、うまくできなさそうとかいう思いを抱きながらで、棒立ちで聴いている人!いるでしょう!音楽に乗るとはどういうことなのか、音楽に身を委ねるとは何か、体で感じるとはどういうことか。そのような講座を考えています。音楽に乗れたら、相当楽しくなりますよ!」
「決してダンスレッスンをするということではありませんので、ご安心を(笑)。念のため。」
音楽をより身近に!
「これは私が感じていることではありますが、「自分自身」と「音楽」が離れている人が多いように思います。距離感があると言いますか、「別物」として捉えているというイメージです。自分の外に音楽というものがあり、外からの視点で、ああでもない、こうでもないと音楽に対して働きかけをするような。」
「「うまくなったな」と思う人って、自分の「内側」から音楽が出てくる人です。考えてみれば、歌は「自分自身が楽器」で「自分自身が演奏者」という不思議で特殊なジャンルです。「どうしたらうまく歌えるか」は、「どうやったら自分の中から音楽が生まれてくるのか」ということだと思います。「遠くにあるもの」をどうにかしようとするのではなく、どうしたら自分の中から「思い」や「感情」が声として出てくるのか。そういう観点で考えたり、試したりしてほしいと思っています。」